こんにちは。Grow&Leapのくららです。
2025年11月1日〜3日、愛知県新城市を舞台に自然体験ツアーを実施しました。このツアーの時間は、記事に残し長く記録しておきたい気持ちにさせるものでした。
数日間、澄んだ空気の中で中高生たちは森の仕事に触れ、その価値や意味を問い直す時間を過ごしました。目の前で「ありがとう」の言葉が返ってこない仕事があること。長く時間がかかる大切な営みの存在と、産業の歪みの中に生まれるさまざまな課題。
日常生活を送るだけでは得られない気づきが、このツアーの中心にありました。

森の仕事に出会う
「林業って何をしている仕事だと思う?」
中高生にこの問いを投げかけたのは、新城キッコリーズの田實さん(愛称タジーさん)。今回のツアーをコーディネートしてくださった方です。中高生たちは少し考えて、「木を切って、植えたりする仕事…?」と一言。林業家のタジーさんが聞くのだからそれだけではないんだろうなと、窺うように答えました。

林業って実際何をしているのだろう?という問いをかかえながら森の中に入り、タジーさんが各所で足を止めて話をしてくださいました。時代の流れと共に、森に人の手が入りにくくなっているそうです。木を植えても、木を切っても、それが高く売れるわけではない状況。そうなれば後継者がいなくなっていきます。
しかし人が管理してこそ、豊かな生物多様性が保たれ、災害にも強い森が作られていきます。そして、海の生物たちに豊かな栄養素を供給しているのも、また、森です。森は私たちが当たり前のように享受するものの根底を支えています。しかし、その森を管理する人が少ないのが現実。

例えば、最近ニュースでよく聞く、くまの問題。森に針葉樹が生い茂り、どんぐりの木などがなくなりつつあります。どんぐりなどの食べ物を探して、くまが森から出てきます。
「くまの餌をつくってあげたい。それでどんぐりの樹を植える。でもくまがごはん代を払ってくれるわけではない。だれもそこにお金を払う人はいない。でも豊かな森を未来に残したい。だからやる。」
自然の中で働くことの意味と、社会の構造が交錯します。タジーさんが案内する森の風景は、ただの自然体験ではありませんでした。「誰のために働くのか」を考える時間。
森を見ながら話す、タジーさんの言葉一つひとつには、未来への責任と使命感、自然を愛する心がにじみ出ていました。

野生動物の心臓を刺す時。
「森から出てきた野生動物を殺す時、心が痛い。えさを探しに来たから。ここに出てこないようにできなかったか?と思う。」
静かな森の中、中高生はその言葉の意味を受け止めました。

目の前のリターンだけで測られる価値ではなく、長い時間がかかる大切な営みの意義。
60年の歳月を経て育っていく木。植える人と切る人は、別人です。

くららには、「森」を守る話が、「教育」というまた別物ではあるけれど、同じく大きなものを守ることにも重なって見えました。これまでのビジネスの世界では、見落とされがちだが目を留めるべきものが確かにそこに存在しており、耳を傾けるべき声なき声は、確かにそこで何かを語っている、と感じます。
夜の語り場で生まれた声
夜ごはんを囲み、その日を振り返る時間。一人ひとり感じたことを共有し合いました。その中で、ある中学生がこう言いました。
「ありがとうをもらえない、やりがいのある仕事もあるんだ。」
この3日間を経て、中高生のまなざしは表面的な価値から一歩踏み出して、本質に向かっているように感じました。

未来に芽生えたもの
ある中学生が、ツアー後に寄せてくれたメッセージを1つ紹介します。
『私は、最近友達とクマの話をたくさんします。クマ怖いよね〜とも話しますが、クマが人里に降りてきてしまうのは、クマの住む家がなくなってしまうからなんだよ、と小話程度に話すようにしています。そこから、キッコリーズさんの話をしたり、森のステージの話をしたり。自分も何かできないか探し中ですが、とりあえずはとにかく広める。自分の経験を広め、私の大好きな森を守っていく為にはどうすれば良いのか、私たちの世代もしっかりと考え、自然と共存できる社会にしていきたい。』
中高生たちにこのツアーで芽生えたもの。表面的な価値ではなく、本質に目を向ける力。「未来」を選ぶまなざし。目の前のことだけではなく、世界のバランスを見つめることの意味を、肌で感じ取りました。

次世代育成の意義、感謝の気持ち
教室から飛び出して、森の中に息づくリアルを五感で味わう。
こうした学びの時間は、短期的なリターンでは測れません。しかし、社会の未来を支えるのは、まさにこうした経験の一つひとつです。
一人ひとりの応援によって、こうした次世代の「深く考える力」を育てる時間は守られています。少し先の未来を見据える感性・思考を育む教育に、いつも力を貸してくださる支援者の皆さま、そして今回協力くださったキッコリーズさんに、くららから、改めて心からの敬意と感謝をお伝えします。
本当にいつも貴重な場づくりにご協力いただきありがとうございます。

森のバランスに想いを馳せて
「お腹いっぱいのくまが森に住む」ということは、人間社会も含めた、世界がうまくバランスを保っていることを意味しています。
もし今の社会がそうでないなら、世界のどこかでどこかに歪みが生まれているのかもしれません。
目の前の事象だけではなく、奥行きを持った見方や聞き方ができること。My Story Projectは、こうした「世界のバランス」を感じ取るまなざしを、次世代に手渡していく場所でありたい。
くららにとって、そう決意を固めるツアーでした。

ツアーのコーディネーター
合同会社新城キッコリーズ
https://www.instagram.com/kikkorys










