キャリア教育NPO法人 Grow & Leap

【協賛企業×MSP生】「間」をつなぐデザイン 『matomato』が描く社会との接点

My Story Projectでは、中高生がさまざまな分野で活躍する大人と出会い、対話を通して、仕事のリアルやその人が大切にしている価値観に触れる機会をつくっています。

今回は、建築や空間づくりをはじめ、企画や事業づくりにも取り組む株式会社matomatoの松田孝平さんにインタビューを実施しました。
インタビュアーを務めたのは、クリエイティブな仕事に関心を持つ5期MSP生のあやかさんです。

人と人、空間と人、物事と物事——。
株式会社matomatoが大切にしているのは、その間にあるものをつなぎ、新しい価値を生み出していくことです。

思い描いたデザインと現実に違いが生まれたとき、どう向き合うのか。
クリエイティブな仕事を続けていくために、どんな姿勢が必要なのか。

建築やデザインの仕事を通して培われた「誠実さ」や「柔軟性」、そして自分たち自身で事業をつくることへの想いについて、お話を伺いました。
(インタビューの内容を一部ご紹介します。)


Q. 「matomato」という社名に込められた意味はどんなものですか?

 「matomato」は、「人と人」「空間と人」「物事と物事」など、いろいろなものが数珠つなぎでつながっていくイメージからきています。僕らはその「と」の部分、つまり物事と物事の間に立つ存在でありたい。英語で言えば「and」。それが僕らの役割だと思っています。人口減少が進む中、新しい建物をどんどんつくることが本当に必要なのかと考えるようになりました。だからこそ、単にかっこいいものをつくるのではなく、「なぜ建築が必要なのか」を考えながらつくる会社にしたいと思いました。その変化が、会社名やコンセプトにつながっています。

Q. 印象に残っているプロジェクトはありますか?

 名古屋駅近くの「セブンストーリーズ」という宿泊施設です。ワンルームマンションの各階を、7組の建築家がそれぞれ設計する。僕らは一室の設計だけでなく、企画自体に関わりました。愛知県の伝統工芸をテーマにしましたが、再解釈して空間に落とし込むことをルールにしました。例えば、有松絞りの部屋でも、実物を置くのではなく、質感や柄を抽象化して表現する。常滑焼も「現地に行ってみたい」と思わせるきっかけにする。単なるデザインではなく、企画・ディレクション・事業計画まで関わったことで、自分たちの幅が広がりました。

Q. うまくいかないことはありますか?

 僕らも、思い描いた通りにいかないことはあります。例えば、街に馴染むようなデザインを丁寧に考えても、売上が伸びないとオーナーが不安になって、A4のチラシをベタベタ貼って、当初の要望に沿った雰囲気が壊れることがある。建築はやり直しがしにくい。ウェブや印刷物のように簡単には変えられません。だから「思っていたのと違う」ということが起きる。でも、その「違い」がポジティブになることもある。想像を超えて良い空間になることもある。その可能性も含めて、共有しながら進めることが大切だと思っています。

Q. 今後の展望について教えてください。

 自社で購入した幅2メートル、奥行き20メートルの柳ヶ瀬商店街の細長いビルで、自社プロジェクトを始動させました。自分たちで事業を持つことで、お客さんの気持ちを理解し、実験的な試みもできる「デザインする状況をデザインする」場にしたいと考えています。目標は「matomato」というコンセプトを体現し、空き家などの社会課題にも向き合いながら、空間デザインが事業成長に役立っていると胸を張って言える仕事をすることです。自分たちのあり方を変えずに、この独自の仕事の仕方を少しずつ広げていきたいと思っています。


今回のインタビューで印象的だったのは、クリエイティブな仕事では、最初に思い描いたものをそのまま実現することだけが「成功」ではないということです。

建築のように簡単にはやり直せない仕事だからこそ、理想と現実に違いが生まれたとき、それを隠すのではなく共有し、その先にあるより良い形を一緒に考えていく。
そこには、デザインの技術だけではなく、人と向き合う誠実さや、状況に応じて考えを変えていく柔軟性が必要なのだと感じます。

MSPでは、仕事の内容を知るだけでなく、その仕事に携わる人が「何を大切にしているのか」に触れることも大切にしています。
今回の対話は、将来クリエイティブな分野を目指す中高生にとって、「自分のこだわりを持つこと」と「現実と向き合うこと」をどう両立していくのかを考える機会になりました。

ご協力いただいた株式会社matomatoの松田孝平さん、ありがとうございました。

インタビュアー あやかさんの感想

クリエイティブな仕事の「誠実さと柔軟性」について、とても学びの多いインタビューとなりました。ただ理想を追うだけでなく、現実と向き合いながら優先順位をつけて形にするプロの考え方を知り、具体的な仕事へのイメージが少しずつ湧いてきたことは大きな励みになりました。これから、「自分のこだわりを大切にする誠実さ」と「状況に合わせて工夫する柔軟さ」、この二軸を意識して、今の私にできる制作に全力で取り組みたいです。(あやか)

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